関西エリアとしては初となる再生可能エネルギー電源の出力制御指示
関西電力子会社の関西電力発送電株式会社は6月3日、関西エリアの太陽光・風力発電事業者に向け、発電設備の一時稼働停止を求める「出力制御」を指示した。
今回の出力制御実施は、6月4日(月)午前9時から午後1時30分を予定。
電力網に送電される電力は、需要と供給のバランスを保たなければ、大規模停電が発生するリスクがあり、4日は、関西電力の火力発電の発電量制御などを行っても、電力供給が需要を上回ると見込まれるためとしている。
全国的の中でも、電力消費が多い関西エリアで、太陽光と風力の再生可能エネルギーの出力制御が行われるのは、今回が初めて。
6月上旬は、1年の中でも電力需要が比較的少ない時期にあたり、3日からの週末で工場やオフィスビルなどの規模の大きな需要先が少なくなることに加え、良好な天候状況のため太陽光発電の出力量が伸びている。
関西送配電は3日正午から午後4時にかけて、最大60万キロワットを他のエリアに送電していたが、4日は、火力発電の制御などを行っても電力供給が需要を上回ることが見込まれるという。
太陽光と風力の発電設備は年を追うごとに増加していて、関西エリアの電力系統に接続済みの設備量は、2023年4月末時点で718万キロワットに達している。これは、関西電力が福井県内で稼働させている美浜3号機(82.6万kW)、大井3号機・4号機(各118.0万kW)、高浜1号機・2号機(各82.6万kW)、高浜3号機・4号機(各87.0万kW)の合計値に匹敵する。※他に日本原電の敦賀2号機(116.0万kW)
関西エリア 初の出力制御(共同)
関西エリアで4日、太陽光と風力の再生可能エネルギー発電事業者が一時的に発電を停止する出力制御が初めて実施された。太陽光の77施設と風力の6施設を対象に、関西電力送配電が発電停止を指示していた。電力の需給バランスが崩れると停電につながるリスクがあり、需要が減る休日に供給量を抑制した。
関西送配電は、4日午前9時~午後1時半に42万~52万キロワットを制御する想定で、事業者に発電停止を求めた。工場の稼働が減って電力需要が縮小する中、晴天で太陽光などの発電量が増えて供給過剰となる事態を避ける必要があった。
出力制御は、大手電力10社のうち東京電力管内だけ実施していない。
共同 2023/06/04 14:59 (JST)
関西電力送配電株式会社のプレスリリース
関西エリアにおける「再生可能エネルギーの出力制御」指示の実施について
2023年6月3日
関西電力送配電株式会社
当社は、本日、「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則」および電力広域的運営推進機関の「送配電等業務指針」において定められている「優先給電ルール※」に基づき、再生可能エネルギー(太陽光・風力)発電事業者に対して、出力制御の指示を実施しました。
関西エリアにおいては、再生可能エネルギー発電設備の導入が年々増加しており、太陽光発電設備および風力発電設備の接続済み設備量の合計は2023年4月末で718万kWとなっています。
明日の電力需給見通しについては、休日で工場などの稼働が少なくなり電力需要が下がると見込まれる中で、好天のため太陽光発電の出力が伸びることが予想されます。
このような中、「優先給電ルール」に基づき、当社の電力系統に接続している火力発電設備の出力制御や揚水発電設備の揚水運転、地域間連系線を活用した関西エリア外への供給等を行っても、供給が需要を上回ることが見込まれるため、明日の一部の時間帯(9時~13時30分)において、関西エリアとしては初となる再生可能エネルギー電源(太陽光・風力)の出力制御の指示を行ったものです。
当社は今後も引き続き、電力の安定供給に万全を期しながら、さらなる再生可能エネルギー発電設備の導入拡大に取り組んでまいります。
※需要と供給のバランスを一致させるために、需要の変動等に応じて、稼働中の電源等に対する出力制御の条件や順番を定めたもの
以上
(出力制御の見通しや指示内容は当社HPにて掲載しています)
優先給電ルール
再生可能エネルギーの出力制御内容等
関連ニュース
出力制御 九州電力が全国初の実施を決定 電力供給過多で大規模停電の恐れ|電力各社の出力制御指針
▶ 出力制御 九州電力が全国初の実施を決定 電力供給過多で大規模停電の恐れ|電力各社の出力制御指針
沖縄電力 初の出力制御実施か 冬場の電力需要小さく需給バランスに影響
▶ 沖縄電力 初の出力制御実施か 冬場の電力需要小さく需給バランスに影響