台湾で特急列車が脱線
台湾北東部で10月21日、特急列車が脱線する事故があり、これまでに18人が死亡、187人が負傷しています。
現場は緩やかなカーブで、台湾の鉄道当局は、事故が起きた原因を詳しく調べています。
台湾当局によると、北東部の宜蘭県で現地時間の21日午後4時50分ごろ(日本時間21日午後5時50分ごろ)、8両編成の特急列車が脱線し、一部が大破しました。列車には乗客366人が乗っていました。
現場では夜を徹して救助活動が続けられました。事態を重く見た蔡英文(ツァイインウェン)総統も22日午前7時(日本時間同8時)、現地に入りし「関係当局には早急に原因を究明してもらいたい。ともに、この難関を乗り越えよう」と語りました。
台湾鉄道は当初、死者を22人と発表していました、その後、消防当局が18人に修正しています。
死者のなかには、韓国で英語スピーチ大会に参加し、台東市に帰る途中だった中学校の生徒3人と教師2人や、結婚式から帰る途中の親族8人なども含まれるているとしています。
脱線現場は、宜蘭県蘇澳地区にある新馬駅にかかる右カーブで、列車は全8両が脱線し、Wの字を描くような状態で、うち5両が横転しました。
台湾紙・聯合報(電子版)などによると、死者は先頭車両の8号車内で6人、7号車付近の外で7人、6号車付近の外で2人見つかっており、車外で見つかった人たちは、脱線の衝撃で車外に飛び出したと消防当局はみています。
運転士は負傷して病院に搬送されています。
台湾鉄道当局者は22日、事故発生前に、運転士が緊急ブレーキをかけていたことや、電力が不安定になっていると運行管理に報告をしていたことを明らかにしていますが、事故原因との関係は調査中であるとしています。
脱線の瞬間
台湾鉄道では事故が頻発 2年余りで7件目
台湾鉄道の特急列車「普悠瑪(プユマ)6432号」が走行中に脱線、横転した事故で、台湾・自由時報(電子版)は10月22日「台湾鉄道では近年、脱線事故が頻発しており、今回の事故はこの2年余りで7件目である」と伝えている。
自由時報によると、台湾鉄道の列車脱線事故は、2016年6月以降で今回が7件目だという。プユマ号は17年10月24日にも台湾東部の花蓮県で脱線した。車内には当時、少なくとも300人以上の乗客がいたが負傷者はなかった。原因は不明だという。
また16年には6月に2件、17年も4月、7月、9月に1件ずつ脱線事故が起きている。16年6月22日の「自強307号」と17年4月30日の「莒光562号」の脱線事故ではそれぞれ2人と1人が負傷したとしている。
事故現場は台北から南東に約60km
事故が起きたのは台湾北東部の宜蘭県蘇澳にある新馬駅。
宜蘭県は、太平洋に面する長い海岸線や緑豊かな渓谷などで有名な観光地で、新馬駅は台北から南東に約60キロのところに位置している。
また、宜蘭県の南には、景勝地として知られる花蓮県があり、多くの日本人観光客が訪れる地域としても知られる。
列車は日本製
台湾の鉄道当局によると、事故が起きたのは特急列車「プユマ号」の6432号。
日本製で、2013年から台湾で運行を開始。製造したのはJR東海の子会社「日本車輌製造」で、ホームページでは「カーブの多い台湾の東海岸路線の速度向上のために計画、調達された」としている。
鉄道当局のホームページによると、この列車は、現地時間の午後2時50分に台湾北部の樹林駅を出発し、午後7時すぎに東部の台東駅に到着する予定だった。
また、この列車は、北東部の宜蘭県にある羅東駅を現地時間の午後4時半ごろ出発したあと、事故が起きた新馬駅付近を通過する予定だった。
台湾国内メディアの報道