最高気温を記録した村で山火事 「90%が焼失」
猛暑が続くカナダで1日、同国の最高気温を記録したブリティッシュコロンビア州リットンが山火事に見舞われ、村の大部分が焼失した。
この地域選出のブラッド・ヴィス下院議員は、山火事によってリットン村の90%が焼けたと説明。周囲のインフラが被害を受けたと語った。
リットンのジャン・ポルダーマン村長はBBCの取材で、「命からがら逃げ出した」と語った。
「リットンにはほとんど何も残っていないだろう。あらゆるところが燃えていた」
ポルダーマン村長は住民に避難指示を出していたものの、火は15分程度で村全体に広がったと話した。
リットンでは今週、カナダ史上最高気温となる摂氏49.6度を記録していた。
北米各地で、異常な高温が記録されている。
ブリティッシュコロンビア州では、通常なら5日間あたりの平均死者数は165人だが、直近では486人に上った。
同州のリサ・ラポワント主任検視官は、異常気象が死者増加の原因だと指摘。ここ数年の熱波による死者はわずか3人だったと説明した。
また、今回の熱波で亡くなった人の多くは、換気口のない家で独り暮らししている人が多かったと述べた。
カナダ西部の気温は、沿岸部では落ち着いてきたものの、内陸部ではなお高い。熱波は東に進んできており、現在はサスカチュワン州とアルバータ州、およびマニトバ州の一部地域に高温警報が出ている。
リットンの状況・動画
ブリティッシュコロンビア州最大都市ヴァンクーヴァーの北東260キロにあるリットン村は人口約250人。1日に山火事が起きると、住人らは取るものも取りあえず逃げ出した。
ポルダーマン村長はBBCの取材で、「15分で町全体が炎に包まれた」と話した。
「みんなペットと鍵をつかんで、車に乗って逃げるしかなかった」
住民らは近隣のコミュニティーに設置された避難所に誘導されたという。
公共放送局CBCの気象予報士によると、山火事は1日夕方、風速44メートルの強風にあおられてリットンに到達した。
カナダ観測史上最高49度を観測した小さな町、山火事でほぼ壊滅(字幕・2日)(REUTERS)
カナダ西部で熱波続く
記録的な熱波続くカナダ西部のブリティッシュコロンビア州リトンで、6月29日午後4時20分(日本時間30日午前8時20分)に49.5度を記録した。
リトンでは27日に46.6度、28日に47.9度を観測しており、3日連続で国内の観測史上最高気温を更新。
カナダ国内で観測された最高気温はこれまで、1937年の45.0度だった。
今回の記録はそれを4.5度上回り、カナダ公共放送のCBCは政府の気象学者の言葉として「この状況について、強すぎる誇張はない」と伝えた。
太平洋沿岸にあり、涼しい気候で知られるバンクーバーでは28日に31.7度の最高気温を観測した。
CBCによると、熱波が始まってから地元警察はバンクーバーやその周辺で100人以上の急死に対応しており、多くは高齢者という。
リトンは、バンクーバーから約100キロ北東に離れた内陸にある。
カナダ西部 突然死が486人
50度近い気温を観測するなど、記録的な熱波が続くカナダ西部で、突然死した人が486人にのぼることがわかった。
カナダでは、国内の史上最高気温を3日連続で更新し、6月29日には49.6度が観測された。
西部ブリティッシュ・コロンビア州の検視当局によると、6月30日までに突然死として報告があった件数は486件にのぼり、検視当局は、死者の多くは、猛暑が原因の疑いがあるとみて調べている。
また、州内の最大都市バンクーバーの警察によると、こうした突然死をめぐる通報のうち、3分の2は70歳以上の高齢者だったという。
警察は、熱波の対応を優先するため、緊急時以外の出動を一時取りやめる措置をとっている。
原因はヒートドーム現象
カナダやアメリカの西部で続く記録的な熱波は、上空の高気圧が熱い空気を閉じ込める「ヒートドーム」現象が原因とみられる。
「ヒートドーム」現象では、停滞する高気圧が、加熱中の鍋の「ふた」のように機能する。BBCのニック・ミラー気象予報士によると、「ヒートドーム」は厳密には気象用語ではないものの、広範囲の高気圧が晴天と高気温をもたらす。高気圧が長期間続けば続くほど、熱波も続き、気温は日に日に上昇を続けるという。