日本海溝・千島海溝沿い地震想定で108市町村を防災強化地域に
北海道から関東にかけての太平洋沿岸を震源とするマグニチュード9クラスの巨大地震への備えを加速させるため、政府の中央防災会議は、北海道から千葉県までの沿岸にある108の市町村を、新たに設定する「津波避難対策特別強化地域」に指定することなどを答申した。
北海道から千葉県にかけての太平洋沖には、「千島海溝」と「日本海溝」と呼ばれる2つのプレート境界があり、ここでマグニチュード9クラスの巨大地震が発生した場合、沿岸では、最大およそ30メートルの高さの津波が予想される。
また、北海道から三陸沖で巨大地震が起きた場合、政府は最悪のケースで死者数が約19万9000人にのぼると推計している。
これら被害想定等を踏まえ、岸田総理大臣は2022年(令和4年)6月、中央防災会議に対し、
地震発生から40分以内に、津波で30センチ以上の浸水が予想されるなど、津波による甚大な被害が想定される地域を「津波避難対策特別強化地域」に新たに指定することなどを諮問していた。
これを受けて、中央防災会議は、同9月30日14時から開催された第42回中央防災会議で、北海道から千葉県までの沿岸にある108の市町村を「津波避難対策特別強化地域」に指定することを答申した。
「特別強化地域」に指定された市町村は、津波避難場所の整備にかかる費用のうち、国が負担する割合が「2分の1」から「3分の2」にかさ上げされるなどの支援が行われる。
また、答申の中で、想定される震度が6弱以上、高さ3メートル以上の津波が予想されるなど、特に防災対策を推進する地域(海岸の堤防が低いなどの「地震防災対策推進地域」)として、これまでの北海道から福島県までの117市町村から、栃木県・茨城県・千葉県等を加えた272市町村を指定した。
政府中央防災会議は、今後10年間で、想定される死者の数をおよそ8割減らすことを目標に、北海道や東北特有の課題である避難した際の低体温症対策として暖房器具を備蓄するなどの対策も盛り込まれた。
さらに、気象庁が巨大地震への注意を促す情報を発信することを盛り込んだ「防災対策推進基本計画」の変更を決定した。
特別強化地域は、南海トラフ巨大地震の津波想定地域でも、2014年に指定済みで、国が特に警戒する二つの巨大な津波災害における対策枠組みの整備が完了したこととなる。
第42回中央防災会議
令和4年9月30日
時間:14:00~14:10
場所:官邸4階大会議室
1 開会
2 議題
(1)日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策の推進に関する特別措置法関係
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域の指定(案)について【答申】
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震津波避難対策特別強化地域の指定(案)について【答申】
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進基本計画(案)について【決定事項】
資料1-1 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法について(PDF形式:441.6KB)
資料1-2 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づく地域指定について(PDF形式:1.9MB)
資料1-3 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震津波避難対策特別強化地域の指定について(答申)(PDF形式:123.2KB)
資料1-4 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進基本計画について(PDF形式:750.5KB)
(2)会長専決事項の処理について【報告事項】
・資料2 会長専決事項の処理について(PDF形式:125.3KB)
<参考資料>
参考資料1 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進基本計画(案)新旧対照表(PDF形式:958.7KB)
3 会長発言(内閣総理大臣)
4 閉会
議事要旨(後日公開予定)内閣府
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最大15万人規模の部隊派遣 寒冷地特有の対策も 日本・千島海溝型地震の応急対策計画決まる 中央防災会議
政府の中央防災会議の幹事会がきょう行われ、北海道から岩手県にかけての千島海溝と日本海溝沿いでの巨大地震に備えた応急対策に関する計画を決定しました。警察や消防など最大で15万人規模の広域応援部隊を派遣することなどが盛り込まれています。
北海道から岩手県にかけての太平洋沖にある千島海溝と日本海溝の周辺では、東日本大震災を含めた多くの地震が繰り返し発生していて、今後も巨大地震が発生するおそれがあります。
政府の中央防災会議の幹事会はきょう、この巨大地震に備えた応急対策に関する計画を決定しました。
計画では、警察や消防、自衛隊から最大であわせて15万人規模の「広域応援部隊」を派遣することが示されました。
また、寒冷地での被害が想定されることから、低体温症のリスクを回避するための物資などを用意することや、救出活動などが滞らないよう部隊の車両の冬用タイヤや隊員の防寒対策を準備しておくことなどが盛り込まれました。
人員や物資などの支援は想定死者数などの被害規模を考慮し、被害が想定されている8道県のうち北海道7割、青森・岩手・宮城の3県にあわせて3割を投入し、福島から千葉までの4県については各県で対応を行う計画だとしています。
きょう行われた幹事会では、このほか南海トラフ巨大地震での応急対策活動についての見直しなども行われたということです。
JNN202305231758
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共同202305231637