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エルニーニョ現象 2024年春の間に終息の可能性高い 気象庁発表

エルニーニョ現象 2024年春の間に終息の可能性高い

気象庁大気海洋部は2024年3月11日、「エルニーニョ監視速報・No.378(2024年2月の実況と2024年3月〜2024年9月の見通し)を発表しました。

昨年の春からエルニーニョ現象が続いているものの、最盛期は過ぎつつあり、春の間にエルニーニョ現象が終息して平常の状態になる可能性が高い可能性が80%と予想しています。

また、夏の間にラニーニャ現象発生については、40%の確率で発生する可能性があるものの、平常の状態が続く可能性の方がより高い(60%)としています。

エルニーニョ現象、春の間に終息

  • 昨年の春からエルニーニョ現象が続いているが、最盛期は過ぎつつある。
  • 今後春の間にエルニーニョ現象が終息して平常の状態になる可能性が高い(80%)。
  • その後、夏の間にラニーニャ現象が発生する可能性もあるが(40%)、平常の状態が続く可能性の方がより高い(60%)。

 

エルニーニョ現象・ラニーニャ現象の経過と予測

エルニーニョ現象 2024年春の間に終息の可能性高い

図1 エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値

12月までの経過(観測値)を折れ線グラフで、大気海洋結合モデルによる予測結果(70%の確率で入ると予想される範囲)をボックスで示している。指数が赤/青の範囲に入っている期間がエルニーニョ/ラニーニャ現象の発生期間である。エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値。

 

エルニーニョ・ラニーニャ現象の発生確率(予測期間:2024年1月〜2024年7月)

エルニーニョ現象 2024年春の間に終息の可能性高い

図2 5か月移動平均値が各カテゴリー(エルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象)に入る確率(%)

エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が+0.5℃以上/-0.4℃〜+0.4℃/-0.5℃以下の範囲に入る確率を、それぞれ赤/黄/青の横棒の長さで月ごとに示す。気象庁の定義では、5か月移動平均値が+0.5℃以上(-0.5℃以下)の状態で6か月以上持続した場合にエルニーニョ(ラニーニャ)現象の発生としているが、エルニーニョ監視速報においては速報性の観点から、実況と予測を合わせた5か月移動平均値が+0.5℃以上(-0.5℃以下)の状態で6か月以上持続すると見込まれる場合に「エルニーニョ(ラニーニャ)現象が発生」と表現している。

 

解説 エルニーニョ監視速報(No.378)気象庁

エルニーニョ/ラニーニャ現象

  • 2月の実況:昨年の春からエルニーニョ現象が続いているが、最盛期は過ぎつつある。 2月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+1.8℃で、1月に比べて差が小さくなった(図3)。エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の12月の値は+2.2℃で、4月から9か月連続して+0.5℃以上となっている(図1)。太平洋赤道域の海面水温は日付変更線付近から東部で平年より高かった(図4図6)。太平洋赤道域の海洋表層の水温は全域で平年より低かった(図5図7)。太平洋赤道域の日付変更線付近から東部の対流活動は平年より活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年より弱かった(図8図9図10)。大気はエルニーニョ現象時の特徴が明瞭だが、海洋はエルニーニョ現象時の特徴が弱まりつつある。以上から、昨年の春からエルニーニョ現象が続いているが、最盛期は過ぎつつある。
  • 今後の見通し:今後春の間にエルニーニョ現象が終息して平常の状態になる可能性が高い(80%)。その後、夏の間にラニーニャ現象が発生する可能性もあるが(40%)、平常の状態が続く可能性の方がより高い(60%)。 実況では、太平洋赤道域に海洋表層の冷水(図5)が見られる。大気海洋結合モデルは、冷水の東進が続き、エルニーニョ監視海域の海面水温が次第に下降して春の間に基準値に近づくと予測している(図11)。その後、太平洋赤道域の西部~中部で貿易風が強まるとともに、中部~東部の冷水がさらに強まり、夏の間はエルニーニョ監視海域の海面水温が基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測している(図11)。一方、春を越えるエルニーニョ/ラニーニャ現象の予測精度は他の予報期間に比べて低い。以上から、今後春の間にエルニーニョ現象が終息して平常の状態になる可能性が高い(80%)。その後、夏の間にラニーニャ現象が発生する可能性もあるが(40%)、平常の状態が続く可能性の方がより高い(60%)。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

  • 西太平洋熱帯域: 2月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値だった(図3)。今後、春は基準値に近い値か基準値より低い値で推移し、夏はおおむね基準値に近い値で推移すると予測される(図12)。
  • インド洋熱帯域: 2月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値だった(図3)。今後、夏にかけて基準値より高い値で推移すると予測される(図13)。

2月の日本と世界の天候への影響

  • 日本: 全国的な高温にはエルニーニョ現象が影響したとみられる。今後の日本の天候については、最新の季節予報を参照されたい。
  • 世界: 東南アジア~インド南部~インド洋南西部、西アフリカ南部、南米北東部、ポリネシア中部~メラネシアの高温がエルニーニョ現象時の特徴に一致していた。

エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生確率値(図2)と主文における見通しの表現

* エルニーニョ/ラニーニャ現象の発生や持続の見通しについては、季節単位で記述することとし、 原則として、現象の発生を記述する場合はその季節の最後の月の発生確率値を、 現象の持続を記述する場合はその季節の最初の月の発生確率値を用いて下表のように表現する。 ただし、発生確率値の推移によってはこの原則を用いないことがある。
    発生確率    
  エルニーニョ 平常 ラニーニャ 主文における表現(発生確率は例)
  現象 現象  
  50%以上 30%以下   エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性が高い(50%)
  60% 40% 0% 平常の状態が続く(になる)可能性もある(40%)が、
エルニーニョ 50% 40% 10% エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性の方がより高い(60%)。
現象の発生 50% 50% 0% エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性と
(持続) 40% 40% 20% 平常の状態が続く(になる)可能性が同程度である(50%)。
  40% 50% 10% エルニーニョ現象が発生する(続く)可能性もある(40%)が、
  40% 60% 0% 平常の状態が続く(になる)可能性の方がより高い(60%)。
    30%以下 50%以上 ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性が高い(50%)
  0% 40% 60% 平常の状態が続く(になる)可能性もある(40%)が、
ラニーニャ 10% 40% 50% ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性の方がより高い(60%)。
現象の発生 0% 50% 50% ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性と
(持続) 20% 40% 40% 平常の状態が続く(になる)可能性が同程度である(50%)。
  10% 50% 40% ラニーニャ現象が発生する(続く)可能性もある(40%)が、
  0% 60% 40% 平常の状態が続く(になる)可能性の方がより高い(60%)。
平常の状態        
への移行 30%以下 50%以上 30%以下 平常の状態になる(が続く)可能性が高い(50%)。
(持続)      

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