気象・災害

気象などの緊急速報メール配信を2022年末で終了 気象庁 – 緊急地震速報・津波・大津波警報の配信は継続

気象などの緊急速報メール配信を2022年末で終了 気象庁 – 緊急地震速報・津波・大津波警報の配信は継続

 

大雨などの特別警報と噴火警報の緊急速報メールを2022年12月末終了

■経緯・概略

気象庁は2022年10月18日、電子メールで防災気象情報を知らせる「緊急速報メール」のうち、大雨や噴火などの特別警報の配信を同12月末で終了すると発表しました。

気象庁は緊急速報メールの配信終了について、市区町村が別の手段で住民に伝えていることを理由とし、他に、メール内には対象となる市区町村が記されていないこと、住民の避難を促す情報として不十分なこと、様々なデバイス(スマートホンやパソコン)の防災アプリなど防災気象情報の提供環境が充実していることを挙げています。

緊急速報メールを巡っては昨年(2021年)10月、気象庁が配信を終了する方針を一度決めたものの、避難に必要な情報が得られなくなるとの懸念が自治体などから寄せられすぐに撤回していました。

その後、当時の国土交通大臣が調査を指示、全国の自治体が住民に避難情報を適切に提供しているかを調べていました。

 

 

防災気象情報の伝達の更なる強化|気象庁報道発表

報道発表日

令和4年10月18日

 

概要

気象庁では、住民や社会に確実に危機感を伝え、情報の受け手の主体的な判断や対応を支援するため、順次発表される防災気象情報を「早めに」「地域をより絞って」伝達することが重要と考えており、そのための施策を推進してまいります。

 

本文

 気象庁では、住民や社会に確実に災害に関する危機感を伝え、情報の受け手の主体的な判断や対応を支援するため、順次発表される防災気象情報を「早めに」「地域をより絞って」伝達することが重要と考えており、そのための施策を推進してまいります。

 具体的には、緊急時における地方自治体への首長ホットラインやJETT(気象庁防災対応支援チーム)派遣などを通じて、気象台の持つ危機感を適切なタイミングで確実に伝えるなど、地方自治体における避難情報の的確な発令の支援を更に進めてまいります。
 また、順次発表される防災気象情報を住民にお伝えすることも重要です。気象庁が提供しているキキクル(危険度分布)は、地図上で1km四方の領域ごとに危険度を5段階に色分けし、「早めに」「地域をより絞って」お伝えする情報です。キキクル(危険度分布)については、令和4年6月30日から警戒レベル5相当の「災害切迫」(黒)を新設するとともに、警戒レベル4相当を「危険」(紫)に統合するなど、より分かりやすく危険度を伝えることができるように改善を図っており、今出水期においても適切な情報発信に寄与しました。気象庁では、キキクル(危険度分布)について、気象庁ホームページで随時公表するとともに、危険度の高まりをプッシュ型で通知するサービスを民間の協力のもとで実施しておりますが、これらの普及拡大をより一層促進してまいります。

 他方、気象等及び噴火に関する特別警報の緊急速報メール(気象等の緊急速報メール)は、対象となる市区町村が記載されておらず、住民の避難を促す情報としては十分ではありません。また、気象等の特別警報は、全ての市区町村から多様かつ適切な手段により住民に伝えられており、それに加えて防災アプリなど防災気象情報の提供環境が充実しているところ、気象等の緊急速報メールは、危険でない地域も含めて全域に配信される等、却って住民に混乱を招くおそれがあるというご意見もいただいております。
 加えて、気象等の緊急速報メールは警戒レベル5相当情報の特別警報のみを提供しており、注意報、警報など早い段階から順を追って伝えておりません。

 このため、防災気象情報を「早めに」「地域をより絞って」伝達する取組をより一層推進することに合わせて、気象等の緊急速報メールの配信は本年12月末に終了いたします。なお、緊急地震速報、津波警報・大津波警報の緊急速報メールは継続されます。

 

資料:気象庁による防災気象情報の伝達の更なる強化

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資料:市区町村を対象としたアンケート調査結果

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大雨など特別警報と噴火警報 緊急速報メール配信終了へ 気象庁:報道

気象庁の噴火緊急速報メール終了 「撤回求めるべき」相次ぎ異論 鹿児島市議会桜島特別委

 

大雨など特別警報と噴火警報 緊急速報メール配信終了へ 気象庁:報道

災害の危険が迫った際に送る緊急速報用のメールについて、気象庁は大雨や暴風などの特別警報と噴火警報の配信をことし12月末に取りやめると発表しました。気象庁は去年、配信をやめる方針を示したものの自治体などから戸惑いや懸念の声を受けて撤回し、その後、市区町村への調査で情報の伝達に支障の無いことが確認できたためだとしています。

気象庁の緊急地震速報や津波警報など災害や避難に関する情報を速やかに知らせるため、携帯電話事業者は「エリアメール」や「緊急速報メール」という名称でスマートフォンや携帯電話に情報を配信しています。

このうち大雨や暴風などの特別警報と、噴火警戒レベルが4と5に当たる噴火警報について、気象庁は去年10月に取りやめると発表しましたが、自治体や専門家などから戸惑いや懸念の声が相次ぎ、長谷川長官が陳謝して配信の取りやめを見送る事態となっていました。

このため気象庁は、去年12月から半年ほどかけて全国すべての市区町村を対象にアンケート調査を行い、大雨などの特別警報や噴火警報が緊急速報メール以外の手段でも住民に伝達されていることが確認できたとして、ことし12月末配信を取りやめると発表しました。

緊急地震速報や津波警報・大津波警報はこれまでどおり配信されます。

気象庁の西潟政宣防災企画室長は「住民が情報を受け取ることができる手段が減ることはあるかもしれないが、緊急時の自治体へのサポートや住民の早期避難に関する意識の向上に今後も努めたい」としています。

 

気象庁長官「危機感を伝えるには十分ではない」

気象庁が緊急速報メールの一部の配信を取りやめると発表したことについて、長谷川直之長官は18日の定例の会見で「気象などの特別警報を緊急速報メールで伝えることについては、対象となる市区町村が記載されていないなど危機感を伝えるという考え方からすると十分ではないという課題が明らかになってきている。そうしたことから、気象などについての特別警報を緊急速報メールで配信することは終了することにした」と説明しました。

記者から住民が情報を受け取る手段が減るのではないかと問われると、長谷川長官は「アプリなどの普及により防災気象情報の提供の環境はかなり充実してきている。防災行政無線も場所によっては個別に受信機が置かれるなどしていて気象庁の緊急速報メールがなくても住民には特別警報などをしっかりと伝えられている」と述べました。

そのうえで、防災気象情報を地域を絞って迅速に伝えるため、災害の危険度の高まりを5段階に色分けして示す「キキクル」の情報を、プッシュ型で伝える取り組みを今後さらに強化していく方針を示しました。

 

配信を取りやめる理由と経緯

気象庁の「緊急地震速報」や「津波警報」「大津波警報」、「大雨や暴風など気象に関する特別警報」「噴火警戒レベルが4と5にあたる噴火警報」について、携帯電話事業者はスマートフォンや携帯電話に「緊急速報メール」で配信しています。

今回、気象庁が、
▽大雨や暴風など気象に関する特別警報と、
▽噴火警戒レベルが4と5にあたる噴火警報の、
配信を取りやめる理由として強調したのが、災害時の防災気象情報を「早めに、地域を絞って伝達することが重要だ」という点です。

大雨や暴風などの特別警報や噴火警報を緊急速報メールで配信した場合、文面には対象となる市区町村が記載されません。

そのため、危険ではない地域も含めて一様に情報が配信されることで、「かえって住民の混乱を招くおそれがあるとの意見も寄せられている」と説明しています。

一方、
▽緊急地震速報や、
▽津波警報・大津波警報については、
情報が配信された際に、必要な行動などがすでに周知されているとして、「危険でない地域を含めても混乱は生じにくい」としています。

これに加え、NHKのこれまでの取材では、システムの運営に年間およそ1200万円かかり、セキュリティー関連費用など配信を継続するための設備の更新に、去年10月の時点でおよそ3億円かかるとしています。

気象庁の年間予算が例年600億円前後ということを考えれば、決して少ないとはいえず、庁内では、「これ以上税金を使うことが難しい」「いきなりやめることに理解を得られないのではないか」などといった意見が出されていたと言うことです。

こうした中、去年10月、2週間後の配信取りやめを発表したところ、自治体や災害情報の専門家から、「突然の配信取りやめは戸惑う」とか「拙速に廃止するべきではない」などといった声が上がり、取りやめを見送る事態となっていました。

そこで気象庁は、全国すべての自治体を対象にアンケートを行い、大雨などの特別警報や噴火警報がどのように住民に伝えられているか、およそ半年をかけて調べました。

その結果、「緊急速報メール以外の手段でも住民に伝達されていることが確認できた」として、改めて配信の取りやめを決めたということです。

 

気象庁が行ったアンケート調査の結果は

緊急速報メールの一部を廃止するにあたり、気象庁は、全国1741すべての市区町村を対象に、防災情報の提供に関するアンケート調査をウェブ上で行いました。

気象庁が発表した調査結果の詳細です。

【気象などの特別警報について】
▽緊急速報メールなど、強制受信型の伝達手段で住民に伝えている自治体は86%(1501自治体)にのぼり、
▽そのほかの14%(240自治体)では、防災行政無線などで伝達している
と回答しています。

【噴火の特別警報(噴火警戒レベル4・5)について】
▽緊急速報メールなどが86%(154自治体)
▽そのほかの手段が14%(25自治体)
と答えています。

次に、避難に関する情報です。

【避難指示は】
▽緊急速報メールなどが93%(1592自治体)
▽そのほかの手段が7%(126自治体)

【緊急安全確保は】
▽緊急速報メールなどが93%(1606自治体)
▽そのほかの手段が7%(112自治体)
となっています。

「そのほかの手段」の内訳は、
▽防災行政無線や、
▽市区町村の防災メール、ホームページが該当します。

このほか、アンケートでは避難指示や、緊急安全確保の発表や判断に大雨の特別警報や土砂災害警戒情報などの情報が利用されているかについても尋ねています。

一方、今回のアンケート調査には、気象庁が緊急速報メールの一部の配信を取りやめるとした判断について、自治体に意見を求める質問項目は設けられていません。

 

気象庁「取りやめに対する反対意見などはなかった」

大雨や暴風などの特別警報と噴火警報の緊急速報用のメール配信を取りやめることについて、気象庁は「情報はすべての市区町村でメールなど多様な手段で住民に伝えられている」「防災アプリなどで情報が提供される環境が充実している」「気象の速報メールは危険でない地域も含め広く配信される」などと説明しています。

また、「対応が拙速だ」などとして、いったんは見送ったメール配信の取りやめを改めて決めたことについては、「去年からことしにかけて全国すべての自治体にアンケートを行った結果、取りやめに対する反対意見などはなかった」とも説明しています。

 

桜島がある鹿児島市は「終了は住民などへ影響大きい」

一方、先月、台風14号が上陸するなど、大雨や台風への対応が多く、活発な噴火活動を続ける桜島がある鹿児島市は「噴火に関する特別警報は緊急地震速報や津波警報などと同様に、突然発生する事象に関する住民にとって重要な情報だ。緊急速報メールは第1報として即時性の高い伝達手段で、配信終了は住民などへの影響が大きい」としています。

そのうえで「市民が速やかに情報を入手し避難できるよう正確かつ迅速な情報の提供をお願いしたい」としています。

NHK 202210182210)

 

 

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