令和3年寒行年の富士山初冠雪を「見直し」
甲府地方気象台は、9月7日に発表した富士山の初冠雪が、その後山頂付近でのことし最高の気温を更新したため初冠雪の基準を満たさなくなったと発表しました。
今後、改めて発表し直すことにしています。
富士山の初冠雪は、甲府地方気象台の職員が目視で山の積雪を確認して発表していて、ことしは今月7日に1度、発表されました。
しかし、初冠雪の基準で「山頂にある観測地点でその年の1日当たりの平均気温が最も高くなった日以降」と決められていて、20日、ことしの最高気温を更新する10.3度を観測したということです。
このため気象台は7日の初冠雪の発表は基準を満たさなくなったとして、今後改めて発表し直すことになりました。
気象台によりますと、20日は上空に暖かい空気が流れ込んだため気温が上昇したということです。
平成21年以降で富士山の初冠雪を見直すのは初めてだということですが、気象台はそれより以前については「記録にない」としています。
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甲府地方気象台は22日、富士山が「初冠雪」したとした7日の宣言を見直すと発表した。初冠雪は、山頂付近の平均気温が1年で最も高くなった日より後になることが前提だが、20日に平均気温の最高が更新され、条件を満たさなくなった。
同気象台によると、一度出した宣言を見直すのは少なくとも過去10年で例がない。今後の冠雪で改めて宣言を出す。
初冠雪は「山頂付近の気温が、その年の1日の平均気温が最高となって以降、初めて冠雪が認められた日」。7日に初冠雪を発表した際は、8月4日の9.2度を最高と位置付けたが、9月20日に10.3度を観測、最高が更新されたため、見直すことにした。
同気象台によると、太平洋高気圧が一時的に強まり、富士山頂の気温も上昇したことが、最高気温更新の一因とみられる。
一方、山梨県富士吉田市は22日、9月7日に出した「初雪化粧」宣言は職員が目視したもので、気象台の判断基準とは異なるとして、撤回する考えはないとした。(共同)
平年より25日早く、昨年より21日早い観測
令和3年9月7日、甲府地方気象台は、富士山の初冠雪を発表しました。
全国の初冠雪観測対象で今シーズン初めての初冠雪の観測となりました。全国初の初冠雪が富士山になったのは、2012年以来9年ぶりです。
甲府地方気象台の発表によると、7日早朝は晴れ間が広がり、職員が午前5時半ごろ、富士山頂付近がうっすらと白く覆われているのを目視で確認しました。
7日午前8時10分までの山頂付近の最低気温は氷点下3.1度でした。
東日本の上空には寒気が流れ込み、昨日6日(月)にかけて富士山には雪雲がかかり、同日朝には静岡市御殿場市から山頂付近にうっすらと雪化粧していることが確認されていました。
富士山の初冠雪の発表は、甲府地方気象台が行うため、6日午前9時時点で甲府側からは雲がかかり山頂付近が見えなかったことから、初冠雪の発表はありませんでした。
6日朝は、静岡県内全域で気温が下がり、富士山頂の最低気温は午前4時半で氷点下0.7度で、平年より2.7度低くなっていました(富士山頂は4日土曜日から3日連続で朝の気温が氷点下)。
1894年の観測開始以降、最も早い初冠雪は2008年の8月9日、最も遅かったのは16年の10月26日。
初冠雪とは
1年のうち、雪に覆われる時期とそうでない時期がある山岳において、夏を過ぎて(その年の最高気温を観測した日を過ぎた後から)初めて山頂に雪が積もって白くなること。
このような状態になることを日本語では「初冠雪を迎える」と表現する。
日本で初冠雪は冬の訪れを推し量る指標として用いられ、気象庁では、気象現象として約80の山を対象に観測している。なお(山頂部に降雪したのみで)積雪の状態にならなければ初冠雪とは言わない。また、初冠雪がそのまま根雪となるとは限らない。
気象庁の観測
気象庁では、冬季の積雪は通常積雪計を用いて実際に雪が堆積した厚みを計測する。
しかし、初冠雪は麓にある気象台や測候所から対象となる山の頂を眺め見て、山頂が白くなっていることを確認して初冠雪とする。
時刻までは計測しておらず発表されるのは日単位である。
機械計測は行なっておらず目視観測であるため、雲などによって山頂が目視できない場合たとえ山頂に積雪が生じたとしても麓から視認できず、雲が晴れるなどして山頂が見えるようになった後日になってから初冠雪が観測されるというタイムラグが発生し得る。