2018年の冬から 4県地方気象台で試験導入
気象庁と新潟・富山・金沢・新潟の各地方気象台は2018年12月25日、短時間の大雪に対する一層の注意・警戒を呼びかけるため「顕著な大雪に関する気象情報」の運用を開始したと発表した。
気象庁は、2018年2月に北陸を襲った大雪により、国道8号での大規模な立ち往生や、新潟県三条市のJR信越線の列車が大雪のために動けなくなり、乗客およそ430人が15時間半にわたって車内に閉じ込められた事案などの発生を受け、2019年度からの全国運用に先立ち、石川と富山、福井、新潟の4県に試験導入した。導入は全国初。
※石川県の気象官署名は「金沢地方気象台」
短時間での大雪予想で発表
短時間での大雪で鉄道の運休や道路の通行止めなど、重大な災害が発生する可能性が高まった場合、新潟を含めた富山・石川・福井の日本海側の4県の地方気象台が、一層の警戒を呼びかけるため、それぞれ独自に「顕著な大雪に関する気象情報」という新たな気象情報を発表する。
発表の基準
大雪警報の基準時間の半分にあたる3時間または6時間の時間の範囲において
大雪警報の基準降雪量の8割に達する降雪量が記録され
その後も、大雪警報の基準値のおよそ1.2倍の降雪量が予想される場合
に、発表する
例:金沢で、6時間で20センチの雪が降り、さらに12時間で30センチの降雪が見込まれるケースが該当
交通への影響情報なども盛り込む
この「顕著な大雪に関する気象情報」には、発表時点以降の降雪の見通し、大規模な交通への影響が予想される地域などの情報も盛り込む予定としている。
顕著な大雪に関する気象情報の正式運用開始と運用地域の拡大
2018年(平成30年)
12月25日、新潟県・富山県・石川県・福井県で試験運用を開始。
2019年(令和元年)
11月13日16時00分から、新潟県・富山県・石川県・福井県・山形県・福島県(会津地方)で、正式運用開始。
2021年(令和3年)
12月1日、滋賀県・京都府・兵庫県・岡山県・鳥取県・島根県・広島県に運用を拡大。
顕著な大雪に関する気象情報 初めての発表
2021年(令和3年) 1月7日、顕著な大雪に関する気象情報が運用後初めて発表された。
顕著な大雪に関する富山県気象情報 第8号 令和3年1月7日22時14分 富山地方気象台発表 (見出し) 砺波で7日22時までの3時間に23センチの顕著な降雪を観測しました。 この強い雪は8日朝にかけて続く見込みです。西部南の平地では、大規模な 交通障害の発生するおそれが高まっています。 (本文) なし
福井県 国道8号線での立ち往生
福井県内では、2018年2月4日(日)から冬型の強い気圧配置となり、嶺北を中心に同5日~13日にかけて大雪となった。
最深積雪は越前市武生で130㎝、大野市九頭竜で301㎝となり、観測史上最多を記録。
福井市においても積雪が147㎝となり、「昭和56年豪雪」以来37年ぶりに積雪130㎝を超える記録的な大雪を観測した。
JR北陸本線・越美北線や地域鉄道などの公共交通機関が終日運休。また、初動の段階で北陸自動車道や中部縦貫自動車道が通行止めとなり、国道8号では坂井市からあわら市にかけての10km区間で、約1,500台の車両が長時間にわたり立ち往生するなど、県内の特に嶺北において交通が麻痺状態となった。
福井県内では6日、多くの小中高校、大学が臨時休校の措置をとり、多くは13日まで休校が続いた。
福井市で車に乗っていた男性が一酸化炭素中毒で死亡、福井・石川・富山の北陸三県では雪降ろし中の転落事故などで27人が重軽傷を負った。
2月7日の朝の時点では、4日以降の大雪で新潟・富山・石川・福井の4県で合計34人が重軽傷を負った。
福井県内では物流の遮断によりスーパーやコンビニで品薄状態になったほか、ガソリンスタンドでも燃料が不足し給油制限が行われた。2月6日、西日本旅客鉄道(JR西日本)北陸本線の金沢駅 – 敦賀駅間では始発から終日運転を見合わせ、サンダーバードなど特急88本と普通列車146本が運休となった。
北陸自動車道では富山県と福井県の間で通行止めとなり、JR西日本は前日に引き続き2月7日も金沢駅〜敦賀駅間で全列車終日運転を見合わせた。小松空港でも終日全便が欠航となった。
新潟県三条市 JR信越線列車立ち往生
2018年1月11日午後6時55分頃、新潟県三条市のJR信越線東光寺-帯織間の踏切で、新潟発長岡行き普通電車(4両編成)が積雪のため動けなくなり、乗客約430人が車内に閉じ込められた。
乗客は車内で一夜を明かし、電車は線路の除雪作業が終わった12日午前10時半、約15時間半ぶりに運転を再開した。
地元消防によると、乗客のうち40代男性と10~20代の女性4人の計5人が「気分が悪い」などと体調不良を訴え、男性が病院に搬送された。
この影響で信越線羽生田駅でも、後続の上り特急電車と普通電車が停止。乗客計約400人が車内に一時残され、JR東日本がバスを手配し代替輸送した。東三条駅と見附駅でも客を乗せたまま後続電車が止まった。
JRによると、信越線は雪で遅れや運休が相次ぎ、乗客が集中していた。立ち往生した電車にはトイレがあり、停電せず車内灯や暖房も動いていた。同社は乗客を降ろさず「暗い中、外は雪が積もっており、安全を優先した」と説明。バスやタクシーによる代替輸送は見送った。