国土地理院は3月1日、房総半島沖でプレート(岩盤)境界がゆっくり滑る「スロースリップ」現象を検出したと発表した。
国土地理院によると、房総半島が載る陸のプレートと、その下に沈み込んでいるフィリピン海プレートの境界面で発生。2月26日頃から、通常と異なる地殻変動が検出され、同28日までのデータを使ってプレート境界面の滑りを調べた結果、海底が最大で約2センチ、南東方向に動いたと推定、同日以降も地殻変動は続いているとしている。「千葉県東方沖で相次いでいる地震は、この現象が誘発しているとみられる」。
房総半島沖でプレート境界面のゆっくりすべり現象を検出
房総半島の電子基準点観測データに、2024年2月26日頃から、通常とは異なる地殻変動(非定常地殻変動)が検出されています。これまでに検出された非定常地殻変動は大きいところで約1cmです。
この変動は、房総半島沖のフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界面で発生している「ゆっくりすべり(スロースリップ)現象」によるものと推定されます。
2月28日までのデータを用いた非定常地殻変動からプレート境界面上のすべりを計算したところ、房総半島沖で最大約2cmのすべりが推定されました。
房総半島沖では、1996年5月、2002年10月、2007年8月、2011年10月、2014年1月、2018年6月の6回、同じような場所でゆっくりすべりが発生したことが、電子基準点の観測データで確認されています。発生間隔は、それぞれ77か月、58か月、50か月、27か月、53か月で、今回は68か月でした。過去6回のゆっくりすべりでは、房総半島を中心とした領域で非定常地殻変動が約10日間観測されました。
なお、この非定常地殻変動は現在も継続しているとみられます。このため、今回得られた解析結果はあくまでも暫定的なものであり、今後のデータの蓄積、精査により、情報が更新される可能性があります。
国土地理院では、引き続き、この非定常地殻変動を注意深く監視していくこととしています。